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説明会が各地で開催されました

2020年10月11日

三田市立幼稚園再編計画(案)について,9月19日~10月11日,計7箇所で市による説明会が開催されました。[市による案内

このうち,10月10日(土)15:30から高平小学校で開催された説明会では,新聞・テレビの取材のある中,満員に近い地域住民が参加しました。

この高平地区での説明会では冒頭,事前に一切地域住民に相談も連絡もないままに地域の幼稚園を廃止する計画案を一方的に提示した手続きの不備,さらに,幼稚園再編という地域のみならず市政全般にかかわる大問題でありながら,責任者たる市長が出席していない問題が提起され,よってこのままでは説明を受ける状態にないとの指摘がありました。

市側からは,この説明会は,市条例に基づき,市長が開催するものであり,「市⺠意見を聴く手続き」としての「意見交換会手続き」であり,かつ,今後「パブリックコメント手続き」も行うとの説明がありました。つまり,三田市立幼稚園再編計画は,「市の重要な計画」であるとの認識が新たに示されました(また同時に,しかし市民・有識者からなる「子ども審議会」の処理事項ではないとの認識も示されました)ので,その認識を前提として開会となりました。

市側によるスライドを用いた本計画(案)の説明に続き,意見交換が行われました。

意見交換を通じて,市側からは,

  • 「適正規模の確保」を目的としているが,就学前教育・保育においてこれが適正規模であるとの根拠になるエビデンスは存在しないこと
  • 喫緊の課題としているのは,保護者ニーズに応えるためであること

が示され,一方住民からは,

  • 高平地区全体をあげて子ども・子育てを支援する体制を築いており,それが充実した教育・保育環境の実現のみならず,地域全体の活力,特に地域人口の維持拡充に重要な役割を果たしていることから,この地域から就学前教育・保育施設を失うことは地域そのものを失う結果となり,地域の保護者ニーズに応えられるだけの集団規模が確保できている現時点では,高平幼稚園の閉園はとうてい受忍できない。
  • 適正規模の確保に向け,都市計画法・農地法の運用など,子ども未来部だけではない全市的とりくみを行わねばならない。
  • 高平幼稚園を子ども園としたい要望は強く,それら地域のニーズをあらためて調査し,それを受けた別の再編計画(案)を複数提示されたい。
  • 少なくとも高平地域においては状況が切迫しているとは誰も認識していないので,計画案をスケジュールに従って押し通すのではなく,企画立案からあらためて,さまざまな立場・意見のある地域住民と対話を重ねる中で,計画を策定・実施されたい。

といった意見が示されました。

中でも,この高平地区で育つ,育まれる,ということが,他所ではなかなか実現できない地域住民がこぞって協力するきわめて恵まれた環境のもとにあり,将来の人生にわたって子も大人もかけがえのない経験になっていることを,多くの参加者がさまざまな形で表明されていたのは印象的でした。

市としては,これらさまざまな意見を持ち帰り検討のうえ,再度の説明会の開催を含め,対話を継続するという方針が表明されました。

またさらに翌日の志手原地区会場では,市民から,

  • きわめて充実している現在の農村地域の市立幼稚園教育を,官民が力をあわせて効果的に広報して,まず適正規模の確保に務めるべき
  • 農村地域の再建不可能な衰退につながる統廃合問題はこども未来部だけで検討できる問題ではないので,次回説明会では関係諸課も出席するなど,市をあげた取り組みとすべき

といった意見があり,また市からは,

  • 地域特有の保育ニーズがどうであるのかについての調査は行っていないこと
  • 志手原/広野に子ども園ができたからといって,各園区内の2号認定(保育)児が優先的に入園できるのではなく,これまでの保育園と同様,全市内から配されること

についてあらためて説明がありました。

本計画(案)の公開まで,まったく対話の機会がなかった市と市民が,ようやく顔を合わせて意見を交換することができたのは大きな一歩だと思います。また,現在の三田市立幼稚園教育に対して,対象地区住民が強い愛着と大きな満足を抱いていることも共有されました。ひきつづき,市民にとって,市にとって,最善最高の保育・教育環境が実現できるよう,官民そろって熟考議論をかさねてまいりましょう。

なお,高平地区説明会では,校庭で参加者のお子さんが,小学生・幼稚園児・未就園児いっしょに仲睦まじく遊んでおり,それを大人が交代して見守ってくださいました。地域社会の中で子どもが育ち・子どもを育てる高平のこうした光景がこれからも続いていくことを,あらためて強く願わずにはおれません。ご協力に御礼申し上げます。