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三田市立幼稚園再編計画(案)意見交換会が開催されます――現況ご報告

「三田市立幼稚園再編計画(案)」について,三田市では,2021年6月に,農村地域各所で「意見交換会」を開催します[三田市]。すでにこれまで19,20日に開催された会での配布資料等から現況をお知らせします。

これまでのまとめ

昨年,令和2年9月~10月に開催された説明会の結果について,三田市では,予定されていたパブリックコメントを中止し,意見交換会の開催に向け,以下のとおり住民からの意見の論点を整理しました[『広報さんだ』令和3年6月1日号の内容に※を補足]。

1.計画(案)策定の背景=人口減
  • 市街化調整区域のため,移住需要に対応できていない
  • ニュータウンからの人との流れを興すといった,地域活性策が不十分
2.計画案の内容=根拠や妥当性が不明
  • 「望ましい集団規模」の理論的・実証的根拠が不明
  • 再編後の場所の選定理由(特に安全性)が不明
  • ※定員設定が,農村部での教育保育のニーズと一致しない可能性が高い
3.再編後=具体像が見えない
  • 園児の安全確保
  • 通園バス
※4.現在きわめて高い教育水準・環境を実現している

こうした説明会の結果を受け,市長は,農村地域での子育て環境のあり方について,以下3点を重視して検討するよう求めました(2021年4月9日:総合教育会議)

  • 小学校と幼稚園との学びの連続性
  • 地域と幼稚園の関わり方
  • 集団教育をしていく中でもきめ細やかな支援、特に支援が必要な子どもにとっての集団教育

各地区から,さまざまな立場・観点から,多岐にわたる意見が出されたにも関わらず,上のとおり,市ではそれら意見を徹底的に分析し,今後に向けて検討すべき問題群としてしっかりと整理してくださいました。「市民主体のまちづくり」を推進する三田市の力が大いに発揮されたところだと,一市民として誇らしく思います。

ここまでの意見交換会の内容

これらの問題提起に対して,すでに開催された3か所での意見交換会では,市からは「ご意見にお答えします」と,以下のような方針が示されているそうです(参加者からのご報告より)。

1.の人口減による園児数減少については,これまでも示されていた,人口分布予測データが再提示されています。

2.の計画案の内容については,そのうち適正規模について,先の審議会答申の再提示,および,「友達との関わりが幼児期の教育には大切だ」との再主張が示されています。

さらに,「その他の意見」として,スライドには,

  1. 計画への掲載を検討するもの
    • 安全確保について
    • 地域の活性化について
    • 新設認定こども園の運営方針について(地域・小学校等との連携等)
    • 事前の園児の交流等について
    • 子育て家庭への支援について
  2. 策定手続きに関すること
  3. 2号認定子どもの受け入れに関すること
  4. 支援が必要な子どもに関すること
  5. 財政的効果に関すること
  6. 小学校再編のきっかけになるのでは

と表示されたようですが(著作権法第32条第2項による引用),少なくとも参加者からは,これらについて新しい提案や,調査結果・調査計画などが発表されたという声を聞いていません(全会場を押さえていないので,発表があったとしたらごめんなさい)。

何が問題か

これらに先立ち,現・当協議会メンバーである高平幼稚園PTAでは,2020年9月にオンブズパーソンに当『計画(案)』の無効・取り下げを申立てました[記事]。オンブズパーソン調査の結果,申立て以後の市の取り組みを見ると無効・取り下げには当たらない,との調査結果が11月に通知されました[記事] 。

ただし,住民には,住民意見を一方的に主張するのではなく「市と協力・連携していくという視点に立って、市との意見交換や協議などを進め」ることが求められました。

また,市には,以下のように求められました。

市にあっては、市民主体のまちづくりという基本条例の理念のもと、今後、申立人の疑念等を払拭するためにも、実施予定である幼稚園再編に関する再度の意見交換会が、一方的に案を説明し、それに対する意見を求めるといった形式的なものではなく、市民の意見を真摯に聴き、市長等と市民が対等な立場で相互に意見交換を行うなど、実質的な意見交換会の場となるよう、また、これまで開催した意見交換会での意見を持ち帰って検討した結果を踏まえた場となるよう開催手法等を検討願いたい。

そして、今後、必要に応じて、市立中学校再編に関する進め方と同様に、パブリックコメントや意見交換会手続以外にも、地域、保護者などと協議を行う協議会を設置するなど、多様な市民の意見を聴く方法を検討し、市民と十分に理解を深めながら、本件計画案の確定に向けて取り組んでもらいたい。

『三田市オンブズパーソン条例』では,

  • 第5条 2 市の機関は、オンブズパーソンから第14条に規定する調査結果の通知を受けたときは、誠実かつ適切に対応しなければならない。

と定めています。

参加者からの声を聞く限りでは,今回の意見交換会が,オンブズパーソン通知に対して「誠実かつ適切に対応」するものであると断言することが,残念ながら私にはできません。もちろん,意見交換は双方が協力・連携する信頼関係の中でしか満足に行うことができませんし,市が条例に違反してまで,申し立て以前と同じ姿勢に戻ってしまうとは思えませんので,双方の意志がうまく通じ合っていないのかもしれません。

そこで,残す26日,27日の4か所の意見交換会では,市も参加者も,相手の主張のその1歩奥にある希望や願いを引き出しあって,より豊かな三田市農村地域での年少者教育環境の実現に向けた,新しい発想や方法につなげていけるよう努めることができればと願っています。

平行して進む中学校再編問題については,市と住民が,上野台・八景中学校再編地域協議会として粘り強い対話をつづけられ,このたび合意に達し中間まとめを発表されました[三田市]。さまざまな立場・考えのある中でも,子どもたちが幸せになってほしい,その想いで一致していたからこその偉業ではないでしょうか。幼稚園再編にあたっても,その根底にある願いは一つだと思います。ぜひ,市・市民がそろって心を通わせることのできる意見交換会といたしましょう。皆様ぜひご参加ください[三田市の案内][マイ広報の案内]。(担当:牲川慶)